「バンダイ ユニバーサルデザイン研究会」では、おもちゃをはじめとするさまざな商品やサービスの開発に関わる社員が集まって、ユニバーサルデザインについて学んでいます。
研究会のメンバーは「今より一歩」の気持ちで、新しいユニバーサルデザインをカタチにしていきます!
2019年3月11日
2018年度、第5回ユニバーサルデザイン研究会
2019年2月13日、2018年度の第5回ユニバーサルデザイン研究会が開かれました。
今年度は初心にかえり、「今より一歩」を合言葉に、新しいユニバーサルデザインのアイデアを見つけよう! という目標で活動してきました。さまざまな商品やサービスの開発担当などを行っているスタッフが、「本体」「パッケージ」「サービス(お店やイベント)」の3チームに分かれて、ユニバーサルデザインについていろんな角度からアイデアを出し合い、話し合いながらさまざまなことを学んできました。
今年度最後となる今回のユニバーサルデザイン研究会では、これまで勉強してきたことも思い出しながら、自分たちの考えた新しいユニバーサルデザインのアイデアを資料にまとめ、「研究成果発表会」を開きました。
本体 のチーム:「今より一歩・楽しくなる」ことを目指して!
「遊ぶための準備も、遊びにしてしまおう!」という新しいアイデアが出ました。
“おもちゃを作る仕事” をしていることを忘れて、ふだんおもちゃを作っているときに考えてしまうことを、なるべく考えないようにして、メンバーみんなで遊びに集中してみました。使う人、遊ぶ人になりきってみると、意外にも “準備が大変だなぁ” と感じることが分かり、改善すべきポイントが見つかりました。
パッケージ のチーム:「今より一歩・分かりやすくなる」ことを目指して!
同じような商品を前にして迷っている人に、「これにしよう!」と選んでもらえるようなパッケージにするには、今の表記ではわかりづらさがあることに気づきました。
“これまでずっと、この場所にはこの情報を書いてきた” というように習慣になっていたことを、「本当にこの場所に必要な情報なのかな?」とあらためて見直すことで、パッケージ表記の新しいアイデアにつながりました。
サービス(お店やイベント)のチーム:「今より一歩・使いやすくなる」ことを目指して!
飲食店のメニューには、食物アレルギーを持つ人のためのピクトグラム表記を入れています。その表記を、より正しく、読み取りやすくするための新しいアイデアが出ました。
「スマホのアプリと連動したら、もっと便利にできる!」という最新技術を活用したアイデアや、「食物アレルギーの確認だけでなく、栄養の管理にも使えるようにして、より多くの人にとって便利な仕組みに!」というように、さらに進化したアイデアも生まれました。
どのチームの発表も、ユニバーサルデザインを考えるときに、とても大切な考え方でした。
この1年間で、しっかりとユニバーサルデザインを学んだメンバーは、所属する部門や会社のそれぞれの商品が、「今より一歩」使いやすくて、わかりやすくて、楽しい商品になるように活躍していきます。
2019年02月18日
2018年度、第4回ユニバーサルデザイン研究会
2018年12月11日、2018年度の第4回ユニバーサルデザイン研究会が開かれました。
今回の研究会では、凸版印刷株式会社の松澤由紀子さんを3年ぶりに講師としてお招きして、食品や生活用品などのパッケージを例に、実際に商品の中に生かされているユニバーサルデザインの最新事例や、そこからさらにユニバーサルデザインを進めていくための考え方や、ヒントの探し方についてお話していただきました。
凸版印刷株式会社のユニバーサルデザイン
凸版印刷株式会社は、印刷技術をベースにさまざまな事業を展開している総合印刷会社です。
2001年より本格的にユニバーサルデザインに取り組み、できる限り多くの人々が使いやすく、魅力的な製品・サービスの企画・開発を行ってきました。
トッパンユニバーサルデザイン7原則
- さまざまな人々の身体・知覚特性に対応しやすくなっている
- 視覚・聴覚・触覚など複数(多重)の方法により、わかりやすくコミュニケーションできる
- 直感的にわかりやすく、心理的負担が少なく操作・利用できる
- より少ない力での取り扱いや、移動・接近が容易など、身体的負担が少なく操作・利用できる
- 素材・構造・機能・手順・環境などへの配慮があり、安全に利用できる
- 適正な価格での提供、社会への充分な供給が可能である
- 心地よさ・楽しさ・美しさなどへの配慮があり、感性に響く魅力が感じられる
ユニバーサルデザインに取り組んでいく中で、「わかりやすい」「安全」「使いやすい」といった基本から一歩進んで、「心地よさ・楽しさ・美しさ」といった感性に響く魅力のある製品・サービス作りに取り組んでいます。
まずは、凸版印刷株式会社が、ユニバーサルデザインの考え方のもとに開発した商品を紹介してもらいました。
「持ちやすい」詰め替えパウチ
持ちやすく、しっかりと自立する洗剤等の詰め替え用のパッケージです。液体を詰め替えるときに、倒してしまったり、こぼしてしまったりといった失敗を防ぎ、快適に心地よく使えるようにしました。
「ケガを防止」電子レンジを使うことで火を使わず安全に温められる(やけど防止)
誰でも安全に火を使わずに調理して、温かい料理が食べられるようなパッケージを開発しました。パッケージをそのまま電子レンジに入れて加熱できるようにしました。常温では中の食品が密閉され、温めたときには蒸気がぬけるように、パッケージの素材や仕組みを工夫しています。
「あつかいやすい」捨てやすさ
ハサミやカッターなどを使わずに、手だけでかんたんに解体できる液体用の紙パックを開発しました。手で折り曲げて軽い力でひきさくことができ、プラスチックのキャップ部分もはずしやすいので、快適に分別してすてることができます。
※よりくわしい凸版印刷株式会社のユニバーサルデザインについては、
こちら→ユニバーサルデザイン(凸版印刷)
ソノサキのユニバーサルデザインを考える ~パッケージを例に~
現在、凸版印刷株式会社が進めている「ソノサキのユニバーサルデザイン」という考え方は、すでにユニバーサルデザインが取り入れられている製品をさらに改良して、使うときの「心地よさ」や「快適さ」そして、「さらに便利!」を目指そうというものです。
<ユニバーサルデザインの進化の一例>
日本のパッケージのユニバーサルデザインは トイレタリーメーカー(日用品などを作るメーカー)が、シャンプーとコンディショナーのちがいを 目をつぶったままわかるようにしたことから始まりました。
さわるとデコボコがあるのがシャンプー、そして、ないのがコンディショナー。シャンプーとコンディショナーのボトルに取り入れられたこのユバーサルデザインは、JIS(日本工業規格=製品の種類・寸法や品質・性能、安全性などを定めた国家規格)にもなっています。
シャンプーとコンディショナーのちがいはわかるようになりました。これだけでよかったでしょうか? 実際にお風呂に入っているときに、もっと快適にするためには?
2018年からはボディソープもさわってわかるようになりました。
すでにユニバーサルデザインを取り入れたものでも、使っていると、もっと工夫できると感じることがあります。さらにアイデアを加えると、飛躍的に便利になることがあります。
また、これまで「これでよし!」と思っていたことでも、人々の生活習慣が変化していく中で、変わっていくこともあります。ユニバーサルデザインは、人々の暮らしの変化に合わせて変化していくことが必要です。
世の中の変化や、人々の要望に対応して「ソノサキの進化」を考えていくことが大切です。
「ソノサキの進化」を考えてみる
実際に、凸版印刷株式会社で開発した製品を手に取ってみて、「さらに進化させるにはどうしたらいいか?」を考えるワークショップを行いました。
ユニバーサルデザインは、「誰でも、安全に便利に使える」という基本的なことから、「もっと効率よく、もっと快適に!」というように、さらなる進化が求められていることを感じました。バンダイでは、「今より一歩」を合言葉にユニバーサルデザインへの取り組みを進めています。今後もこの考え方で、さらに進めていこうという自信にもつながりました。
2018年11月22日
ユニバーサル都市・福岡フェスティバル2018 『ユニバーサルデザイン見本市』
2018年10月29日(月)~11月3日(土・祝)、福岡県福岡市天神のソラリアプラザで開催された、『ユニバーサルデザイン見本市』で、バンダイの商品を展示しました。
福岡市は、ユニバーサルデザインの理念に基づいた、誰もが思いやりを持ち、すべての人にやさしいまち「ユニバーサル都市・福岡」を、まちづくりの目標像として掲げ、みんながやさしい、みんなにやさしい「ユニバーサル都市・福岡」を市政の柱の一つとして推進しています。
『ユニバーサルデザイン見本市』は、ユニバーサルデザインを取り入れた商品の展示や体験ブースを通じて、たくさんの人にユニバーサルデザインを知ってもらい、理解を深めてもらうために開催されました。
バンダイでは、ユニバーサルデザイン研究会を通じて、さまざまな取り組みの事例を、このお子さま向けサステナビリティサイト『おもちゃの会社バンダイのサステナビリティ』から情報発信しています。それが、『ユニバーサル都市・福岡』運営事務局の方の目にとまり、「UDを知らない人に伝わりやすい事例が多く、商品を展示したい!」とお声がけいただいての出展となりました。
『ユニバーサルデザイン見本市』の展示では、来場したみなさんに手にとって商品を見てもらいました。バンダイやグループ会社のおもちゃが、細かいところまでこだわりをもって作られていることや、「形」「音色」「色づかい」などにも、使いやすさや安全などの意味が込められていることを、知ってもらうことができました!
「使ってみたい!」「子どもに買ってあげよう」「孫にプレゼントしたい」という声も数多くいただき、とてもうれしく感じたのと同時に、これからも「さらに一歩!」ユニバサールデザインを進めていこうと気持ちを新たにしました!
2018年10月31日
2018年度、第3回ユニバーサルデザイン研究会
2018年9月27日、2018年度の第3回ユニバーサルデザイン研究会が開かれました。
今回の研究会では、ユニバーサルデザインの基礎を復習する講習会を行なった後、『トランプゲームの王道「ばばぬき」の遊び方をつくる』をテーマにワークショップを行ないました。
トランプゲームの王道「ばばぬき」の遊び方をつくる
誰でも知っているトランプゲーム「ばばぬき」ですが、あらためて遊び方の手順やルールをワークシート(紙面)で説明しようとすると、とまどってしまいます。
これまで学んできたユニバーサルデザインの知識を活かして、“「ばばぬき」を全く知らない人” を想像しながら、どのようにしたらわかりやすく説明できるか考えます。
バンダイの「あそびかた」のUDな工夫
※実際におもちゃの取扱説明書で注意していること。
- 1 遊ぶ手順どおりに書いてある
- 遊ぶ手順がわかりやすく書いてあると、正しく遊び方が伝わります。
- 2 手順は少なく
- 遊びを説明するときの手順を少なくできると、読みやすくなり、やってみたい気持ちにつながります。
- 3 文章は短くわかりやすく
- むずかしい言葉はなるべく使いません。
- 4 イラストを使ってわかりやすく
- イラストを使うと、何を説明しているのかわかりやすくなり、文字をへらすこともできます。
- 5 キャラクターを使って楽しく!
- キャラクターのイラストやセリフを使って注意やアドバイスを入れると、遊びの楽しさを伝えることができます。
“「ばばぬき」を全く知らない人” にとって、遊ぶためにどんな情報が必要か考えます。
- 初めに何を説明すればいいか?
- ゲームのルールは? 遊ぶ手順は?
- 楽しい・おもしろいポイントは?
かんたんなルールと思っているものでも、誰にでもわかりやすく説明するには工夫が必要です。
参加者それぞれが、ワークシートに遊び方を書いて、チーム内で話し合いながらわかりやすい「あそびかた」を選びました。さらに選ばれた「あそびかた」を全員で確認、投票を行って、みんながわかりやすい遊び方 No.1を決めました。
投票で選ばれた「ばばぬきのあそびかた」
人によって説明のしかたが少しずつちがっているのは、「わかりにくい」「わかりやすい」と感じるところがみんな少しずつちがっているからです。できあがった「あそびかた」を見くらべてみて、すべての人に同じようにわかりやすい遊び方を作ることのむずしさを実感することができました。
2018年8月9日
2018年度、第2回ユニバーサルデザイン研究会
7月19日、2018年度の第2回ユニバーサルデザイン研究会が開かれました。
第1回のワークショップに引き続き、NPO法人『実利用者研究機構』の岡村正昭先生をお迎えし、「体験型ユニバーサルデザイン研修・初級」の講義をしていただきました。
まずはチームに分かれて、ユニバーサルデザインの新しいアイデアを考えるワークショップを行いました。
岡村先生から、新しいアイデアを取り入れるときの注意点や問題点を解説してもらい、「そのアイデアで、商品が本当に誰にとっても魅力的になるのか?」を、あらためて考えてみることの大切さを学びました。
障がいのない人もある人も、欲しいと思う商品
例えば……
「食品ラップとアルミホイルを、視覚に障がいがある人がまちがえずに買い物できるように工夫しよう!」というテーマでアイデアを出していきます。
すると……
「箱にさわってわかるマークをつける」「商品名がさわってわかるようにする」などのアイデアが出てきました。
しかし……
箱に工夫をしたことで、商品の値段が高くなってしまったら、これまで買ってくれていて、特に使いにくさを感じていなかった人にとっては魅力がうすれてしまいます。
誰かにとって必要な工夫でも、その工夫を必要としていない人もいます。ユニバーサルデザインを取り入れていくときには、誰にでも使いやすい商品であると同時に、だれにとっても不利益がなく魅力的な商品でなければなりません。
ユニバーサルデザインを取り入れるだけでなく、さらに一歩進めた工夫が必要になります。
『ユニバーサルデザインコーディネーター3級試験』にチャレンジ!
ユニバーサルデザインを実際の商品やサービスに取り入れるときに、「実際に使ってみて、効果が実感できるか?」「工夫を取り入れたことで、利用しにくくなる人はいないか?」といったことを、さまざまな視点から考え、アイデアを実現していくのが、ユニバーサルデザインコーディネーターです。
2回の講義で学んだことを確かめるために、バンダイのスタッフが、『ユニバーサルデザインコーディネーター3級試験』を受験しました!
なんと! 受験した全員が、合格しました!!
ユニバーサルデザインコーディネーターとして学んだことを、バンダイの商品やサービスに生かせるように、がんばっていきます。
2018年6月20日
2018年度、第1回ユニバーサルデザイン研究会
5月10日、2018年度の第1回ユニバーサルデザイン研究会が行われました。
今年度も、バンダイやグループ会社の社員の中から選ばれた新しい研究会メンバーが集まって、ユニバーサルデザインについて学び、いろいろな体験をしながら “バンダイらしい、バンダイならではのユニバーサルデザイン” を考えていきます。
第1回のワークショップとして、NPO法人『実利用者研究機構』の岡村正昭先生をお迎えして、「体験型ユニバーサルデザイン研修・初級」の講義をしていただきました。
『実利用者研究機構』は、「マジョリティもマイノリティも。つかう人、ぜんいん。」という考え方のもとに、15年にわたり行政や企業の商品・サービスの 指導・監修といったさまざまな活動を続けています。
「体験型ユニバーサルデザイン研修・初級」の講義では、実際の例を紹介してもらいながら、作る人と使う人には考え方や感じ方のちがいがあることや、そのちがいを少なくするためのポイントを学びます。
実際に、利用する人はどう感じているのか?
ユニバーサルデザインの考え方を取り入れた商品やサービスが、実際に使うとき、きちんと機能しているか? さらに改善する点はないか? ほんとうに使いやすくなっているか? さまざまな環境の人々から意見や感想を聞き、利用状況を知ることが大切です。
使う人と作る人の考え方、感じ方のちがい
作る人が「良い」と思ったことが、使う人には「良い」と感じられなかったり、「使いにくい」「わかりにくい」と感じられてしまうこともあります。使う人の立場や環境を考えることと同時に、実際に使う人がどう感じているかを知ることが重要です。
いろんな人のいろんな使い方
身体の大きさ、年齢、性別、言語などがちがう人たちが、状況や環境に合わせて利用できること。ユニバーサルデザインは、「多様性」と「利用状況」の両方に注意して、ものを作るだけでなく、使ってもらうための工夫が必要です。
今回の講義では、実際に使っている人の気持ちや、感じ方について多くの例をもとに紹介していただきました。
第2回ユニバーサルデザイン研究会では、今回の講義の続きを行なった後、受講したバンダイのスタッフが、『ユニバーサルデザインコーディネイター3級』の試験に挑戦します!