夢・創造人だより

Vol.05 仮面ライダーシリーズ玩具企画・開発人

9月4日(日)に放送がスタートする令和仮面ライダーシリーズ第4作『仮面ライダーギーツ』。
本作の変身ベルト玩具「変身ベルト DXデザイアドライバー」の企画・開発担当者が、商品のコンセプトとともに「モノづくり」にかける思いをお伝えします。

  • Vol.05 仮面ライダーシリーズ玩具企画・開発人
  • 王道のかっこよさと「1セットで10種類」の変身遊び

    いつも仮面ライダーの玩具シリーズを応援してくださっている皆さん、初めまして!
    「変身ベルト DXデザイアドライバー」企画・開発担当の佐々木と申します。僕は『仮面ライダードライブ』(2014年)の頃から仮面ライダーの玩具に携わり、ここ3年ほどは毎年のメインアイテムとなる変身ベルトを担当してきました。「DXデザイアドライバー」は、これまでに培った経験を生かして、「10人の子どもがいたら10人がかっこいいと思うもの」を徹底的に追求した変身ベルト玩具です。

    『仮面ライダーセイバー』(2020年)や『仮面ライダーリバイス』(2021年)は、僕が企画・開発に携わった変身ベルト玩具としては変わりダネのコンセプトで、付属の剣を引き抜いたりスタンプをモチーフにしたキーアイテムをベルトに押印したりして変身していたのですが、『仮面ライダーギーツ』ではストレートに“王道のかっこよさ”を意識しました。
    その見た目はもちろん、ベルトから流れる音声も、主人公が街の平和を守るために生き残りゲームに参加するという『仮面ライダーギーツ』の世界観に合わせ、ゲームを表現した機械音とすることで、近年の派手な変身サウンドとはまた一味違う、シンプルでかっこいいものを目指しました。

    そして「DXデザイアドライバー」最大の特徴は、変身ベルトセット「変身ベルト DXデザイアドライバー」のセット内容だけで、10種類の変身なりきり遊びができるようにした点です。
    ベースとなる変身ベルト「デザイアドライバー」の中央に、円形の「ライダーコアID」をセットすることで“エントリーレイズフォーム”に変身。また、ベルトの左右どちらか、もしくは両方に「レイズバックル」をセットすることでそれぞれのバックルの力で別のフォームに変身。さらに、ベルトを左向きに回転させることで別のフォームにも変身できます。
    本商品は3種類の「レイズバックル」がセット内容に含まれるので、これらの組み合わせを変えることで10種類もの仮面ライダーの各種フォームへ変身遊びが楽しめます 。

  • 理想は高く、最後まで粘り強く作ること

    「レイズバックル」は、変身ベルト玩具の遊びの幅を広げるキーアイテムの最新版です。従来のキーアイテムはそれぞれベルトとの組み合わせで音声が変わる仕組みでしたが、遊び方そのものは共通でした。そこで「このキーアイテム1つ1つに“違う遊び”があったら、もっとおもしろいものができるんじゃないか?」というのが、「レイズバックル」のアイデアの出発点だったんです。こうして、バイクのハンドルを回すようなもの、鍵を回して扉を開けるものなど、「レイズバックル」ごとに異なる手遊びのギミックを取り入れました。…極端な話、「レイズバックル」ごとに異なる手遊びを取り入れるということは、それぞれ変身ベルトを1つ作るのと同じぐらい労力と時間をかけてアイデアを考える必要がありました。ここが「DXデザイアドライバー」開発における最大のポイントで、とても苦労した部分でもあります。

    モノづくりには、仕様、コスト、スケジュールという3つの大事な要素がありますが、今回はこのどれもが大変な開発でした。冒頭でもお話しした通り、お子さまに「かっこいい!」と思っていただける理想の商品仕様を追い求めながら、例年のDX変身ベルトと近しい価格に抑えつつ、『仮面ライダーギーツ』の放送開始日には必ず子どもたちに届けるというミッションがあって。僕らとしては「レイズバックル」の遊び方のわかりやすさ、ベルトとの着脱のしやすさなども大切にしたかったので、子どもたちが難なく遊べるかどうかを確認するモニター調査なども欠かさず行いました。さらに、とてもたくさんの人が関わって作っているおもちゃなので、「こうしたらもっと良くなるんじゃない?」といった意見も常に出てきます。それらもできる限り採り入れながら、特に外観や音声プログラム、パッケージデザインはスケジュールのデッドラインギリギリまで、より良いものを最後まで粘り強く追求しました。外観は金型を掘り始める直前まで細かな点の追加や形状見直しを行い、設計データの調整を行いました。音声プログラムは様々な「レイズバックル」を組み合わせたときにどのように変身音が鳴るのか、音声発動タイミングの絶妙な間合いなど、内蔵している変身音や必殺技音など音声ごとに調整を行い、音声ICの完成が生産開始に間に合うデッドタイミングまで、パッケージデザインもデータ入稿日の夕方まで背景柄の調整や見やすさの改善を行っており、各ターニングポイントで最後の最後まで時間を掛けて検討を繰り返しています。 変身ベルト玩具の開発には、モノづくりのこだわりのすべてが詰まっているといっても過言ではない気がします。

    こうした積み重ねの結果、今まで以上に楽しい変身ベルトが仕上がったと自負しています。今後登場する「レイズバックル」とともに、変身ベルトをカスタムしていくような感覚で「変身ベルト DXデザイアドライバー」をぜひ楽しんでいただければと思います!

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