バンダイ深掘コラム「夢・創造人」

2020年11月2日

Vol.13 「キャラパキ」シリーズ企画開発人<前編>~縁日の「型抜き」×チョコレートの掛け合わせ/「食べる」に「遊び心」を~

今回取りあげるのは、バンダイ キャンディ事業部の「キャラパキ」。縁日の“型抜き”のように、チョコレートに描かれたキャラクターの輪郭に沿って周囲のチョコレートを割っていく“遊び”と“おいしさ”を両立した商品だ。現在第4弾まで展開し、非常に好評を得ている。
今回はこの商品企画を立ち上げたキャンディ事業部 菓子事業チーム 片野裕太と、この企画を受け継ぎ第4弾となる『キャラパキ 解体図鑑』を展開している横山七美に話を聞いた。
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キャンディ事業部 片野裕太 横山七美

「キャラパキ」シリーズ
とは

『キャラパキ 発掘恐竜』
「キャラパキ」公式サイト:
https://www.bandai.co.jp/candy/search/brand/index.html?brand_id=146

「キャラパキ」シリーズはパフ入りの板チョコレートを割ってキャラクターやアイテムを取り出す楽しい“遊び”要素が詰まったお菓子。第1弾である『スーパーマリオキャラパキ』が生まれたのが2017年、シリーズは今年で4年目となる。
売れ行きは好調で、第2弾である「発掘恐竜」はわずか2年で累計出荷数が2千万個を超えたという。

第1弾の「スーパーマリオ」からコンビニエンスストアやスーパーなどの店頭での売り上げは堅調で、片野はヒットの可能性を掴んでいたという。『キャラパキ 発掘恐竜』も発売当初よりノンキャラクターではありながら実売は好調な出だしとなった。その結果を受け、発売後すぐにTVCMを制作し、認知を広げ、子どもたちに強くアピールを行い、ヒットをさらに加速させた。

バンダイキャンディ事業部としては「ノンキャラクターのお菓子」のヒットは悲願であった。その願いを「キャラパキ」は叶えたのだ。

開発の経緯

「キャラパキ」は、「お菓子そのものに楽しさ、遊びを盛り込みたい」という片野の想いから生まれた。求められていたのは「これまでにないお菓子」。そこで子どもたちからの人気の高い板チョコレートと型抜きの面白さを掛け合わせることで「キャラパキ」に思い至った。

第1弾として、ゲームキャラクターである「スーパーマリオ」選定した。「スーパーマリオブラザーズ」などでブロックを壊すイメージがあり、そのイメージとブロックを壊すようにチョコレートを割り、中からキャラクターが出てくるというギミックをシンクロさせて商品にしたという。そしてこの“中を取り出す”という楽しさが、“恐竜を発掘する”という、こちらも男の子に人気の高い遊びへと繋がったというわけだ。

第2弾の『キャラパキ 発掘恐竜』は、「キャラパキ」=‟型抜き“というコンセプトをより活かすアイデアである「発掘」という遊びと、化石と地層を表すために2種類のチョコレートを使用し、発掘するイメージを強調した仕様が子どもたちに刺さり大ヒットに繋がった。結果、「オリジナルのIPでヒットを狙いたい」というキャンディ事業部の夢を実現したのだ。

第3弾では『キャラパキ チョコの実だもの』を発売した。この商品は、女児向けのキャラパキとして開発した。ベースのパフ入りチョコレートはそのままで、さらに3色(ピンク・黄色・茶色)のフルーツ型の小粒のチョコレートを型抜きして「収穫」を体験するというものだ。

『キャラパキ チョコの実だもの』
商品ページURL:

https://www.bandai.co.jp/candy/products/2018/4549660290193000.html

チョコレートの味も増え、お菓子としての仕様は格段に上がっている。しかし、好調な発掘恐竜と比べてなかなか売り上げは伸びなかった。原因を分析していく中で一つの要因は、型抜きの対象物は「大きいほうが良い」 ということが分かった。ただ単にチョコレートを割らせる、というだけでなく型抜きの楽しい要素として「成功」 や「失敗」 がある。そこを意識した商品でなければ『キャラパキ』 の遊び要素が届かないと感じた。

この事例から第4弾の『キャラパキ 解体図鑑』の企画に繋がった。

開発で苦労した点

「キャラパキ」の生みの親である片野に、開発で最も苦労した点を聞くと次のように語った。

「『キャラパキ』は割ること自体に楽しみがあるので、パッケージを開けた時に絶対に割れていてはいけない商品なんです。その一方で、綺麗に型を抜くためには割りやすい硬さでなければならない、というジレンマを抱えていました。」

輸送中には割れず、力を込めるとパッキリ割れる。この矛盾とも言えるテーマにはチョコレートの材質、割れるためのデザイン、割れないための強度と、試作を重ねた。
このため商品の強度だけでなく、包装形態から見直し、お客さまの手に届くまで割れないように気をつけているという。

また、『キャラパキ 発掘恐竜』では恐竜の骨のデザインにもこだわった。リアルさを感じさせつつお子さまに怖さを感じさせないデザイン設計や、「プテラノドン」の翼は膜状の皮膚であり本来ホネとしては残らない。しかしイメージ優先で、翼の形にしているとのことだ。また、恐竜の骨の細さや、長さによって「難易度=レベル」が設定されているが、そのレベルの調整もこだわりの一つとなっている。恐竜たちがどのようにデフォルメしているかも見所だ。片野がお気に入りなのはやはりシリーズの顔であるティラノサウルスとのことだ。

さらにチョコレートそのものにも強いこだわりがあり、味の配合には元ショコラティエの経歴を持つ社員が制作。『美味しい バンダイのチョコレート』の礎となっている。

第4弾『キャラパキ 解体図鑑』や今後の展開について

9月下旬に、解体をテーマにした『キャラパキ 解体図鑑』を発売した。お肉屋さんにある肉の部位を説明したイラストのような、動物の身体の部位をデフォルメしたデザインがキャラパキになった商品だ。「発掘恐竜」から一歩進み、「動物を型抜き」、 さらに真ん中の「ハート型を抜く」 という2ステップの楽しみがある。

初期のラインアップは8種類。ウシやブタ、トリ、マグロのほか、イカやスッポンなどもある。全部で4種類のチョコレートで構成され、特に面白いのは、「ハート」の部分。周りのピンク色の部位はイチゴ味だが、ハートの部分はそのイチゴの味が濃くなっている。このハートをいかにキレイに取り出せるかという、さらなるゲーム性も備わった。3段階にレベルが設定されており、より難しいモノをちゃんと分解できれば達成感も大きい。

「解体図鑑」はシリーズ最高のスタートを切り、現在生産数トップである「発掘恐竜」に迫る勢いだという。解体図鑑をスタートさせた横山は前作を超えたいという想いも持っており、女の子のユーザーも狙っているとのこと。デザインにもかわいらしさを盛り込んだことで、新しいユーザー層にもアピールできているという実感を得ているとのことだ。

「キャラパキ」にかける
想い

片野はヒット商品を生み出し、その実感だけでなくヒット商品が生み出されていく過程に新鮮な驚きをもった。「キャラパキ」は片野が生み出した商品だが、シリーズ第3弾より横山が担当している。それは片野には「キャラパキ」 シリーズに次ぐ、エンターテインメント菓子の開発を、横山には片野にはない視点での「キャラパキ」 シリーズの価値向上を図るための配置換えだったという。片野はその後「トレーグミ(※のちの「釣りグミ」)」の開発に着手し、横山は「発掘恐竜」のリニューアルを成功させ、「解体図鑑」の企画へと発展させていった。

「手放す時は寂しさも感じましたが、あれからさらに大きくなったので感謝しかないです。」と片野は語った。

横山は片野の想いを受けて「キャラパキ」を発展させる役割を任せられた。ヒット商品を引き継ぐのは、かなりプレッシャーを感じる仕事だが、期待がかかっているからこそ新しいチャレンジをしていくつもりだという。

「キャラパキは右肩上がりで成長を続けています。そのなかで、どうやって生産ラインを安定させて供給していくか、営業・プロモーションとどう連携をとっていくか、など全てが新しい挑戦でしたし、キャンディ事業部全体で協力し合えたからこそできていると思います。これからもドンドン新しいことをしていきたいと思います」と横山は語った。

©BANDAI

キャラパキ公式サイト:
https://www.bandai.co.jp/candy/camp/charapaki/

バンダイ キャンディ公式サイト:
https://www.bandai.co.jp/candy/

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